過去10年で余暇時間の使い方はどう変化したのか!?

皆様、こんにちは!

今日はNHK放送文化研究所より「2015年国民生活時間調査報告書」という興味深い調査が発表されていましたので、内容を見ていきたいと思います。

http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20160217_1.pdf

この調査は人々の1日の生活時間の配分に関して調査を行っているもので、1995年から5年ごとの調査結果が掲載されているため、時間の経過とともに人々の時間の使い方がどのように変遷してきたかを理解することが出来ます。

テレビの視聴時間は各年代で減少傾向
まず、年代別のテレビの視聴時間に関しては、男性・女性それぞれ以下のような調査結果となりました。2005年→2015年にかけてテレビの視聴時間は下がってきているのが見て取れますが、特に10代や20代の減少率は大きく、逆に60代以上はそれほど減少していません。30代は男性の減少幅は大きいですが、女性はそれほど減少しておらず、違った結果となりました。

図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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1日にテレビを15分未満しか見てない人の割合はほぼ倍増
また、同調査ではテレビを1日に15分以上見た人の割合も報告しており、以下の2つの図表は各年代の男性と女性の中で1日にテレビを15分未満しか見ていない人の割合を計算したものです。男性に関しては10代~40代にかけてかなり割合が増えており、2015年においては約1/4以上の人が1日に15分未満しかテレビを見ていないという結果が出ています。一方、女性に関しては、専業主婦など家にいる時間が相対的に長いせいか、男性に比べて全体的に割合は低めですが、それでも10代~40代は過去に比べて割合は倍増しています。ちなみに我が家は私も妻もがっつり1日15分以上テレビは見ています。

図表:年代別にみた1日当たりのテレビ視聴時間が15分未満の割合(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:年代別にみた1日当たりのテレビ視聴時間が15分未満の割合(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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若い世代ほどインターネット発展の影響を受け視聴行動が変化
ではほかの観点でも見てみたいと思います。これは先ほどのグラフで示した年代別のテレビの視聴時間ですが、色をつけた部分は同じ人々と仮定できます。つまり、1995年に10代だった人は2005年に20代になり、2015年には30代ということですね。こういう観点で見た場合、男性は10代から30代にかけて視聴時間はそれほど増えず、40代から70代にかけてどんどん視聴時間が増えていくというのが通常パターンで、2005年に30代以上だった人はこのパターンに当てはまっていますが、2005年に10代だった世代や20代だった世代は2015年にかけて視聴時間が減っています。
一方、女性に関しては、10代から年を重ねるごとに右肩上がりに視聴時間が増えていくというのが通常パターンですが、2005年に10代だった世代や20代だった世代は2015年にかけて視聴時間が変わっていません。

やはり10代、20代と若いうちからインターネットやスマートフォンに慣れ親しんだ世代はインターネットサービスの発展の影響を最も受け、その反動としてテレビの視聴時間が減少していうということなのでしょうか。

図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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要因として接触デバイスの変化(スマートフォンの普及)が大きい
テレビが面白くなくなったとか、インターネットの方が面白いとか、色々言われたりはしていますが、私は単純に接触するデバイスの変化が要因として大きいと思います。これまで示してきた図表を見ても、若い世代ほど2005年からテレビ離れは起きており、これはPC(インターネット)に接する時間が増えたことが影響していると思われますが、2010年以降はその傾向はさらに加速し、さらには全世代で視聴時間が減少しているのは、スマートフォンの普及が大きいのではないでしょうか。

 

「とりあえずテレビ」から「とりあえずスマホ」へ
昔は家にいるときは情報を得るにもエンタメを楽しむにもテレビを見るということが限られた選択肢で、その中で相対的に好きなチャンネルを見るという行動だったと思いますが、今ではスマートフォンという友人や職場との通信手段でもあり、どんな情報やエンタメも探せば出てくるドンキのような存在でもあるスマートフォンが登場し、テレビに頼らなくてもよくなったことが一番大きいのではないかと思います。そして、最近では「探せば出てくる」というよりも「興味ある情報やコンテンツが自然と流れてくる」ようになりましたので、「とりあえずスマホ」という傾向はより強まっていると思います。本調査ではテレビ以外にもラジオ、雑誌・本、新聞、趣味・教養などの時間も調査を行っていますが、いずれも2005年に比べて減少しており、特に10代と20代において減少率が大きくなっています。これもスマートフォンと接する時間に奪われていると考えられます。

図表:2005年から2015年の余暇時間の使い方の変化
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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テレビの視聴時間は今後も減少することが予想される
それでも以前ブログで指摘した通り、リビングのテレビがリモコン一発でつくのは大きなアドバンテージで、だからこそ家にいるときは「とりあえずテレビ」という流れがあり、スマートフォンが普及した後も「ながら見」が定着することでテレビの視聴時間はそれほど落ちていません。ただ、2010年から2015年の変化を見る限り、今後スマートフォンの利用がより一層定着することで、ますますテレビの視聴時間は減っていくことが予想されますし、若い世代ではじめからテレビをもたない人も増えてくると思います(その場合は「とりあえずテレビ」という流れも生まれない)。また、テレビリモコンのNetflixボタンやソニーのAndroidテレビなど、テレビでもボタン一つでオンラインコンテンツが見られるような環境が整えば、「とりあえずテレビ」だとしても、地上波放送がみられるとは限りません。

 

テレビ広告は当面安泰だが、長期では戦略転換が必要となろう
前回のブログで申し上げた通り、動画広告市場が成長し続けた中でもテレビの広告が成長したことは米国市場で証明されています。やはりテレビの持つリーチ力やインパクトは他の広告媒体にはない差別化要因であることから、ある程度視聴時間が減り続けたとしても、広告出稿は落ちないと思います。少なくとも今後5年は。しかし、長い目で見れば、視聴時間が減少することは広告媒体としての魅力の衰えにもつながります。これまでは「テレビではテレビの番組しか見れない」というのがテレビ局にとっての大きなアドバンテージでしたが、長期では「テレビ番組はテレビでしか見れない(他デバイスで見れない)」ということがディスアドバンテージになる可能性があり、テレビ局がどのような戦略転換を見せてくるのか注目していきたいと思います。

 

それではまた!!