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6四半期ぶりに赤字に転落したGoProの未来について考えてみる

皆様、こんにちは!
先日、久しぶりにGoProの株価を見てみたら1年でかなり株価が急落していました。。。ピークからはおよそ85%も下落しています。一時は100億ドルを超す時価総額がありましたが、今では17億ドルになってしまいました。

参考:GoProの株価推移
(出所:YAHOO! Finance)

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2015年4Qは6四半期ぶりに営業赤字を計上
さて、GoProの業績推移はどうなっているのでしょうか?先日発表された2015年4Q決算は6四半期ぶりに営業赤字を計上してました。10-12月は本来であれば年末商戦でもっとも利益が出やすい四半期ですし、GoProはまだまだ売れてる印象をもっていたので、意外な内容です。会社側によると、4月で終了予定の一部製品の在庫処分費用を計上したことで、粗利益率が通常の40%台から29%へ悪化したとの説明をしていますが、出荷台数も前年比16%減と減少に転じています。

参考:GoProの業績推移
(出所:GoProのIR資料より当社作成)

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競争環境の問題ではなく、市場飽和が要因?
会社側は2015年4Qの米国内でのシェアは若干上昇しており、アクションカメラ市場に占めるシェアは85%を超えているとコメントしています。となると、ターゲット市場にGoProがいきわたり、買い替え需要も少なく、市場自体が飽和して伸びなくなったということなのでしょうか?会社側は現状ではその可能性を認めつつも、GoProの操作や映像の編集をシンプルにすることが出来れば、ターゲット市場はまだまだ広げていけるとコメントしています。

 

スマートフォン(汎用機)にやられてきた専用機市場
アナリスト時代はハードウェア企業を担当していましたが、スマートフォン(汎用機)が登場してデジカメ、ビデオカメラ、音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、カーナビなど様々な専用機の市場が侵食されはじめて以降、この議論はよく行われていました。当然、日本企業はスマートフォンで出遅れていたために専用機サイドの企業が多いのですが、当初の彼らの主張は「スマートフォンに慣れ親しんだユーザーはより高度な機能を求めて専用機に回帰する」というものでした。結果はご承知の通り、専用機の市場は予想以上に縮小し、撤退を余儀なくされた会社もありました。ただ、スマートフォンに侵食されて完全になくなってしまった市場はなく、エントリーレベルの市場がなくなってしまったという形でしょうか。デジカメ市場ではデジタル一眼レフやミラーレスの登場でハイエンドセグメントは一時的な成長を見せてましたし、音楽プレーヤー市場でもハイレゾの登場でハイエンドセグメントは盛り上がりを見せています。しかし、いずれにしてもスマートフォンの機能進化で専用機はどんどんハイエンド/ニッチな世界に追いやられ、市場縮小に伴って厳しい競争環境にさらされるという状況です。

 

専用機でも最も健闘しているゲームのようなビジネスモデルを築けるか
GoProはスマートフォンと必ずしも事業領域がかぶっているとは言えないかもしれませんが、今のニッチ市場から広げていくためにはスマートフォンでは実現できない価値を提供するという、これまでの専用機と同様のチャレンジが必要になりそうです。実は専用機事業の中で唯一成長市場として見られている市場があります。それはゲーム市場です。ゲームはもともとハードウェアをばらまいて、ソフトウェアで稼ぐというビジネスモデルです。当然ハードウェアの販売においてスマートフォンの影響は受けており、ハードウェアの売上は過去に比べて減少しています。一方で、ゲームのオンライン化が進むことで、オンラインを通じたアップデートの提供、ユーザー間の対戦機能、ゲームプレイ動画のシェア機能の提供など、これまでなかった新たな価値を提供できるようになっています。結果として、ゲーム専用機のユーザー数全体はエントリーユーザーがスマートフォンに移行したことで減少していますが、ミドルエンドユーザーやハイエンドユーザーのエンゲージメントはより高まり、追加アイテムの販売、月額課金などを通じて新たなマネタイズ手段が生まれました。マイクロソフト(Xbox)やソニー(Play Station)は今では数百万人単位で月額有料課金ユーザーを抱えており、これが両社ゲーム事業にとっての大きな収益源となっています。また、ソニーのPlayStation Vueに代表されるように、ゲーム機からリビングのプラットフォームを狙うというゲーム機→汎用機を狙うような動きも出てきています。今のソニーにとってゲーム事業及びそこから派生するネットワーク事業は最も将来性が期待できる事業と言っても過言ではありません。

参考:ソニーのゲーム事業の営業利益推移
(出所:ソニーのIR情報より当社作成)

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注:2012年度まではゲーム事業営業利益、2013年度以降はゲーム&ネットワーク事業の営業利益

 

ゲームはコンテンツとの組み合わせにより新たなマネタイズ手段を確立

先ほどの議論に戻ると、ゲーム機のハードウェアとしての市場は既にピークアウトしていますが、ゲーム機メーカー(任天堂除く)の収益はそれほど落ち込んでいません。これはゲーム機においてはハードウェアだけでなく、ソフトウェア(コンテンツ)も一体となってはじめてユーザー体験につながるため、ハードウェアの進化にオンライン化の要素が加わり、それによりこれまでにないコンテンツを楽しめるようになったことに起因していると考えられます。ハードウェアの進化だけではどこかで限界を迎え、市場縮小&競争激化が待ち構えるのみですが、いかにゲーム機のようにソフトウェア含めてスマホでは実現できないユーザー体験を実現し、マネタイズにつなげられるかが重要だと思います。

 

GoProにとってもコンテンツのエコシステムを広げることが復活の鍵ではないか
GoProでいえば、GoProのカメラで投稿した動画が1日1.5万本YouTubeに投稿されており、公式YouTubeチャンネルにも多くの動画が投稿されています。チャンネルを見る限り、1日約1本が投稿されており、YouTube公式チャンネルのチャンネル登録者数は373万人です。これらの投稿された動画は新たなユーザー獲得に向けたプロモーションとしてGoProのハードウェアの販売に貢献してきました。そうした意味では、既にハードウェアとそこから生まれるコンテンツの良いシナジーが生まれている状況ですが、ゲーム市場の例に倣えば、今後はコンテンツが生まれやすく、また拡散させやすいような機能を実現し、またそこから生まれたコンテンツを活かしていくエコシステムを作り出すことが収益の持続化の鍵となりそうです。

 

メディアビジネスやBtoB向けでのポテンシャルは大きい
YouTube以外でも、GoProはGoProチャンネルとして、様々なOTTにもチャンネルを提供しており、将来的にはメディア企業として発展する可能性はかなり高そうです。また、ドローンとの組み合わせなど、ビジネス関連でも発展の可能性はまだまだありそうです。

GoProチャンネルはVirgin Airlineの機内でも放送
(出所:http://worldairlinenews.com/2014/07/22/virgin-america-and-gopro-partner-with-a-new-airborne-channel/

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GoPro licensingは広告素材市場を狙った取り組み
また、昨年7月にはGoPro licensingを発表しました。これはGoProの映像制作者と広告主をつなぐプラットフォームビジネスで、GoProに撮影された選りすぐりの映像を広告主が一定の使用料を支払って利用するというものです。ここではメディアとはまた違い、広告素材としての市場を狙えるビジネスモデルとなっています。

参考:GoPro Licensingのウェブサイト

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スマートフォンがある以上、ハードウェアとしての市場規模は限界があるものですが、ゲーム同様にハードウェアをばらまいた後に、そこから生まれるコンテンツを用いたビジネスモデルを確立し、そこでデファクトスタンダードを握ることに未来があるのではないかと思いました。

それではまた!