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国内外のMCN勢力図を調べてみました!

皆様、こんにちは!

今回はYouTube統計分析第3弾ということで、国内外のMCN勢力図を見ていきたいと思います。MCNというのはMulti Channel Networkの略で、当社のようにYouTube上の様々なチャンネルを束ねて支援する企業のことを指します。

まずは国内の状況を見ていきましょう!
下記の図表は国内の再生回数トップ100チャンネルにおけるMCNの再生回数シェアです。トップ100チャンネルのうち、51チャンネルがMCNに属しており、うち当社が32チャンネル、クリーク・アンド・リバー社のThe Online Creatorsが7チャンネル、ガジェット通信が5チャンネルと続きます。海外MCNのシェアはそれほど高くなく、TasteMadeが1チャンネル、BroadbandTVが2チャンネルという状況です。

また、企業チャンネルは22チャンネルがランクインしており、エイベックスやソニーミュージック、ワーナーミュージック、AKBチャンネルなど、音楽系のチャンネルが中心となっています。

図表:国内のトップ100チャンネルにおけるMCNシェア(2016年3月22日時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成) 

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チャンネル数ではなく再生回数で見た場合のシェアはどうでしょうか?ほとんど変わらないですが、再生回数の上位はMCNに所属する個人クリエイターが占めているため、MCNのシェアは全体的に少し上昇します。

図表:国内のトップ100チャンネルにおけるMCN再生回数シェア(2016年3月22日時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成) 

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それでは海外の状況はどうでしょうか?tubefilterの記事で2月のグローバルの月間再生ランキングが掲載されていましたので、そちらを参考に集計しました。かなり分散しており、円グラフだと細かくなり過ぎてしまうために、棒グラフで表現します。海外の場合も企業チャンネルは100チャンネル中で24チャンネル、無所属が20チャンネルで、残りの46チャンネルがMCNと国内とそれほど変わらない状況ですが、VEVOをMCNではなく音楽系企業チャンネルと定義すれば、より企業チャンネルの構成比が高いと解釈することも出来ます。VEVO以外でも企業チャンネルの多くは音楽系のチャンネルとなっており、やはり音楽は国境を越えたコンテンツとして人気があります。

図表:グローバルのトップ100チャンネルにおけるMCN別チャンネル数(2016年3月22日時点)

(出所:tubefilter記事に基づき当社作成)

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個人YouTuberはローカルでは強いですが、グローバルで人気を得ることはかなりレアです。そもそもの言語圏の問題もありますが、笑いのツボや習慣が国ごとに違うので当然と言えば当然ですが。。。それでもローカルで圧倒的な人気を誇るチャンネルや、おもちゃ系のチャンネル/ゲーム系のチャンネルなどグローバルで視聴者を抱えているチャンネルもあり、そういったチャンネルがランクインしています。

チャンネルの国籍としてはアメリカが51チャンネルと断トツで、続いてイギリスとインドがそれぞれ9チャンネルで続きます。4位はスペインで5チャンネルでやはり言語圏が広い国が多くランクインしている印象です。ちなみに日本は4チャンネルがランクインして5位です。まあまあ健闘してますね。

MCNのシェアで見た場合、VEVOの16チャンネルに続き、MakerStudiosが11チャンネル、BroadbandTVが4チャンネルと続いていますが、それ以下は混戦状態です。ちなみに当社は2チャンネルがランクインしています。まだまだグローバル化する余地のあるコンテンツはたくさんあるので、より多くのチャンネルをランクインさせるべく、グローバル化をサポートしていきたいと考えています。

 

それではまた!

 

 

 

各国のYouTube人気コンテンツを調べてみたら全然違った!

皆様、こんにちは!

今週は前回に引き続きWizTrackerを活用して、国内と海外で見られているコンテンツの違いに関して分析していきたいと思います。以下で様々な国の人気コンテンツランキングを見ていきますが、WizTrackerはあくまでその国のチャンネルの視聴回数ランキングですので、その国で最も視聴されたチャンネルではない点は注意が必要です。

 

まず、視聴回数がグローバル1位のアメリカを見てみましょう。
トップ10だと月間再生回数も数億回レベルになっていますが、ジャンルとしてはかなりばらけています。想定的に音楽やおもちゃ紹介はやはり多いですが、3位にプロレスのチャンネルが入っているのは特徴的です。また、日本のYouTuberのような個人チャンネルでランクインされているものは4位のFAMILY FUN PACK(家族が運営するチャンネル)くらいです。6位にはテレビ番組もランクインしています。

図表:アメリカのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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次に、視聴回数がグローバル2位でアメリカと同じ英語圏のイギリスを見てみましょう。
子供系のコンテンツと音楽、ゲームが多くなっています。3位に様々なスポーツのアクロバティックなプレイやスーパープレイを紹介するチャンネルがあり、8位にはディズニーのチャンネルがランクインしているのが特徴でしょうか。

図表:イギリスのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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こちらは同じ欧州のスペイン(グローバル7位)の再生回数ランキングですが、イギリスとは大きく違い、ゲーム実況チャンネルが多くランクインしています。記載は省略しますが、欧州ではイタリアも想定的にゲーム実況動画が上位にランクインしており、フランスはアニメのチャンネルが非常に多く、ドイツは音楽のチャンネルが非常に多いという特徴があります。同じ欧州でも全然違いますね。音楽、テレビ、アニメコンテンツなどに関しては著作権者のポリシーの違いによりそもそもYouTube上で配信されやすい国とされにくい国があるので(日本は後者)、その辺も影響しているのかもしているのかもしれません。

図表:スペインのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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続いて視聴回数3位のブラジルです。
スペインやイタリア同様にゲーム実況は強いです。ラテン系の国とゲーム実況は相性がいいのでしょうか??ちなみに7位のチャンネル「SUPERHEROES WORLD S.W.」は著作権者の許可を得ているのか分かりませんが、マーベルやディズニーのキャラクターのパロディーを投稿していて、チャンネル立ち上げてわずか2カ月で、かつ22本しか動画を上げていないにもかかわらず、驚異的な再生回数を達成しています。ここまで急速に再生回数を伸ばしたチャンネルは初めて見ました。。。

図表:ブラジルのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成) 

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続いて4位のロシアですが、上位チャンネルがほとんどアニメという特徴的なランキングになっています。どの国でも上位10チャンネルに1チャンネルはローカル言語の独自アニメが入っていたりしますが、ロシアはそれが6チャンネルもランクインしています。

図表:ロシアのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)

(出所:WizTrackerを利用して当社作成) 

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続いて5位の日本です。
日本も最近おもちゃ紹介動画の再生回数の成長が著しく、上位をおもちゃ紹介チャンネルが独占しています。また、海外では珍しく、HIKAKINやはじめしゃちょーといった個人YouTuberのチャンネルが上位に入っているのが特徴です。

図表:日本のチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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次に6位のインドになります。
インドはテレビ局がテレビに流しているコンテンツをYouTubeにも配信しており、テレビ局のチャンネルが上位を独占しています。子供ソングの有名チャンネルも何故か多いです。

図表:インドのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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次にグローバル8位の韓国です。
さすがグローバルでのK-POP人気の影響なのか、音楽チャンネルが他国に比べると頑張っている印象があります。4位は個人YouTuberのチャンネルがランクインしており、ジョイチャンネルは日本と近いものを感じます。

図表:韓国のチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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最後に同じアジアつながりでタイフィリピンです。
タイは全てテレビ局と音楽チャンネルで絞められています。インド同様に、テレビとYouTubeの垣根が低く、普通にテレビ局がYouTube上にもチャンネルを持っているようです。
フィリピンもタイと違っておもちゃ紹介もありますが、テレビ局のチャンネルが多くランクインしているのはタイと同様です。

図表:タイのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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図表:フィリピンのチャンネルの過去30日間の再生回数ランキング(2016/3/24時点)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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いかがでしたでしょうか?やはりおもちゃ紹介動画は万国共通で人気ジャンルになっています。海外からも視聴されやすいというのも再生回数を伸ばしやすい理由の一つなのかもしれません。あとは国ごとに人気ジャンルが意外とバラバラだったりして、非常興味深かったです。また定期的に分析していけたらと思いました。

それではまた!

YouTubeの統計情報を徹底分析!

皆様、こんにちは!

今日は国内外のYouTubeの状況に関して、外部の統計サービスを利用して調べていきたいと思います。今回利用するWizTrackerは世界中のYouTubeのチャンネルの登録者数や再生回数をトラックしており、今日現在でグローバル全体では72万チャンネル、日本では3.9万チャンネルをカバーしています。私自身がWiztrackerを使って色々調べたところ、チャンネル登録者が5000人前後だとカバーされてたりされてなかったりで、それより少ないチャンネルだとほとんどカバーされていません。実際、YouTubeはチャンネル登録者5000人未満のチャンネルが無限に存在し、国内のチャンネル数も3.9万よりも全然多いと思いますので、あくまでも参考値としての分析ですが、大手チャンネルはほぼカバーされていますので、一定の示唆は得られると考えています。

再生回数では日本はグローバルで5番目
まずは、国ごとに再生回数の規模を見てみましょう。下記の図表は2016年3月の日本の再生回数を100として各国の過去30日の再生回数を指数化したものです。実は昨年2月にも同じ調査を行っていましたので、その時点の過去30日の再生回数を指数化したものも合わせて掲載しています。この調査結果を見る限り、国内のYouTubeチャンネルの再生回数はグローバルで5番目の再生回数規模を誇っています。トップは米国で、日本の約9倍あります。ただし、ここでいう再生回数とは「その国でどれだけ再生されたか」ではなく、「その国のチャンネルがどれだけ再生されたか」なので、実際に米国のチャンネルは米国外からの再生もそれなりに多そうです。2位がイギリスに続いて、3位がブラジル、4位ロシア、6位がインドといわゆるBRICsが上位に入ってきています。アジアでは韓国が日本の81%の規模で近いところに位置してますが、タイで日本の38%、台湾で26%、ベトナムで16%、マレーシアで11%、インドネシアで9%の規模です。YouTubeがそれなりに普及しているイメージはありますが、WiFi環境下で動画を取り込んでオフラインで再生するということが一般化しているためか、再生回数規模としてはまだまだ小さいです。

図表:主要国の月間YouTube再生回数の比較(2016年3月の日本の再生回数を100として指数化)
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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前年からの伸び率では新興国が高い。日本は前年比66%成長。

前年との比較に着目してみると、日本は前年から66%成長しています。今回計測したタイミングが2015年2月12日と2016年3月14日ですので、単純比較はできませんし(日本では2月より3月の方が再生回数は増える傾向)、カバーしているチャンネルの母数も昨年は2,7万チャンネルに対して今年は3.9万チャンネルですので、実際はこれよりは低いと思いますが、数十%の成長は達成できているのではないかと思われます。

当然ですが、新興国の伸び率は高く、ブラジル、ロシア、インドは前年比ほぼ倍増しています。理由は分かりませんが、アジアではベトナムの成長が著しく、前年から約4倍の成長となっています。

 

国内の再生回数はバーベル型に分布
下記の図表はチャンネル登録者のレイヤーごとに再生回数全体に占める割合を示したものです。例えば、チャンネル登録者数100万人-500万人のチャンネルが23存在し、再生回数全体の14%を占めているということです。日本の場合、チャンネル登録者数の多い上位層の人数は少ないものの、再生回数に占める割合は大きいです。YouTubeは再生時間の多いチャンネルほど関連動画に表示されやすかったり、検索結果に表示されやすかったりして、上位チャンネルがより再生回数を伸ばしやすいアルゴリズムが存在するためでしょうか。一方、先述したように、チャンネル登録者5000人以下のチャンネルに関しては、そもそもWizTrackerにカバーされていないチャンネルも多く、実際の割合はもっと高いと思われます。したがって、レイヤーで分けた場合には上位と下位の再生回数が多い「バーベル型」の分布をしているということになります。

図表:国内のチャンネル登録者レイヤー別の再生回数全体に占める割合
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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米国では更にその傾向は顕著
今度は米国の分布をみてみましょう。米国では規模がそもそも違うため、チャンネル登録者数500-1000万人、1000万人以上という新しいレイヤーを足していますが、結果としては更に上位チャンネルの構成比が高くなっています。中でもチャンネル登録者数100-500万人のレイヤーがチャンネル数としても比較的多く、再生回数全体の28%を構成しています。ただし、米国も同様にチャンネル登録者数5000人以下のチャンネルは実際にはもっと多いと思われますので、分布としては日本より更に顕著な「バーベル型」になっているということかと思います。

図表:国内のチャンネル登録者レイヤー別の再生回数全体に占める割合
(出所:WizTrackerを利用して当社作成)

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日本と米国の差は海外視聴の差と思われる
今回の結果はある程度予想されたものではありましたが、実際に見てみるとはっきりとその傾向が見られたのは興味深かったです。日本の場合、米国ほど上位チャンネルへの偏りは顕著ではないですが、日本のコンテンツがいかに海外で再生されるかがポイントになりそうです。YouTubeでは動画内の音声を認識し、日本語と認識された場合には海外の関連動画上にほとんど出てきません。したがって、多言語化もしくは無言語化された海外向けコンテンツが増えていけば、既存の上位チャンネルが海外でも視聴されるようになり、より再生回数を伸ばすということが可能になるでしょうし、はじめから海外を狙ったチャンネルが再生回数を伸ばすというパターンもあるかもしれません。

来週は引き続きWizTrackerを活用して、国内と海外で見られているコンテンツの違いに関して分析していきたいと思います。

それではまた!

過去10年で余暇時間の使い方はどう変化したのか!?

皆様、こんにちは!

今日はNHK放送文化研究所より「2015年国民生活時間調査報告書」という興味深い調査が発表されていましたので、内容を見ていきたいと思います。

http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20160217_1.pdf

この調査は人々の1日の生活時間の配分に関して調査を行っているもので、1995年から5年ごとの調査結果が掲載されているため、時間の経過とともに人々の時間の使い方がどのように変遷してきたかを理解することが出来ます。

テレビの視聴時間は各年代で減少傾向
まず、年代別のテレビの視聴時間に関しては、男性・女性それぞれ以下のような調査結果となりました。2005年→2015年にかけてテレビの視聴時間は下がってきているのが見て取れますが、特に10代や20代の減少率は大きく、逆に60代以上はそれほど減少していません。30代は男性の減少幅は大きいですが、女性はそれほど減少しておらず、違った結果となりました。

図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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1日にテレビを15分未満しか見てない人の割合はほぼ倍増
また、同調査ではテレビを1日に15分以上見た人の割合も報告しており、以下の2つの図表は各年代の男性と女性の中で1日にテレビを15分未満しか見ていない人の割合を計算したものです。男性に関しては10代~40代にかけてかなり割合が増えており、2015年においては約1/4以上の人が1日に15分未満しかテレビを見ていないという結果が出ています。一方、女性に関しては、専業主婦など家にいる時間が相対的に長いせいか、男性に比べて全体的に割合は低めですが、それでも10代~40代は過去に比べて割合は倍増しています。ちなみに我が家は私も妻もがっつり1日15分以上テレビは見ています。

図表:年代別にみた1日当たりのテレビ視聴時間が15分未満の割合(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:年代別にみた1日当たりのテレビ視聴時間が15分未満の割合(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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若い世代ほどインターネット発展の影響を受け視聴行動が変化
ではほかの観点でも見てみたいと思います。これは先ほどのグラフで示した年代別のテレビの視聴時間ですが、色をつけた部分は同じ人々と仮定できます。つまり、1995年に10代だった人は2005年に20代になり、2015年には30代ということですね。こういう観点で見た場合、男性は10代から30代にかけて視聴時間はそれほど増えず、40代から70代にかけてどんどん視聴時間が増えていくというのが通常パターンで、2005年に30代以上だった人はこのパターンに当てはまっていますが、2005年に10代だった世代や20代だった世代は2015年にかけて視聴時間が減っています。
一方、女性に関しては、10代から年を重ねるごとに右肩上がりに視聴時間が増えていくというのが通常パターンですが、2005年に10代だった世代や20代だった世代は2015年にかけて視聴時間が変わっていません。

やはり10代、20代と若いうちからインターネットやスマートフォンに慣れ親しんだ世代はインターネットサービスの発展の影響を最も受け、その反動としてテレビの視聴時間が減少していうということなのでしょうか。

図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(男性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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図表:平日の年代別テレビの視聴時間の推移(女性)
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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要因として接触デバイスの変化(スマートフォンの普及)が大きい
テレビが面白くなくなったとか、インターネットの方が面白いとか、色々言われたりはしていますが、私は単純に接触するデバイスの変化が要因として大きいと思います。これまで示してきた図表を見ても、若い世代ほど2005年からテレビ離れは起きており、これはPC(インターネット)に接する時間が増えたことが影響していると思われますが、2010年以降はその傾向はさらに加速し、さらには全世代で視聴時間が減少しているのは、スマートフォンの普及が大きいのではないでしょうか。

 

「とりあえずテレビ」から「とりあえずスマホ」へ
昔は家にいるときは情報を得るにもエンタメを楽しむにもテレビを見るということが限られた選択肢で、その中で相対的に好きなチャンネルを見るという行動だったと思いますが、今ではスマートフォンという友人や職場との通信手段でもあり、どんな情報やエンタメも探せば出てくるドンキのような存在でもあるスマートフォンが登場し、テレビに頼らなくてもよくなったことが一番大きいのではないかと思います。そして、最近では「探せば出てくる」というよりも「興味ある情報やコンテンツが自然と流れてくる」ようになりましたので、「とりあえずスマホ」という傾向はより強まっていると思います。本調査ではテレビ以外にもラジオ、雑誌・本、新聞、趣味・教養などの時間も調査を行っていますが、いずれも2005年に比べて減少しており、特に10代と20代において減少率が大きくなっています。これもスマートフォンと接する時間に奪われていると考えられます。

図表:2005年から2015年の余暇時間の使い方の変化
(出所:NHK放送文化研究所「2015年国民生活時間調査報告書」より当社作成)

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テレビの視聴時間は今後も減少することが予想される
それでも以前ブログで指摘した通り、リビングのテレビがリモコン一発でつくのは大きなアドバンテージで、だからこそ家にいるときは「とりあえずテレビ」という流れがあり、スマートフォンが普及した後も「ながら見」が定着することでテレビの視聴時間はそれほど落ちていません。ただ、2010年から2015年の変化を見る限り、今後スマートフォンの利用がより一層定着することで、ますますテレビの視聴時間は減っていくことが予想されますし、若い世代ではじめからテレビをもたない人も増えてくると思います(その場合は「とりあえずテレビ」という流れも生まれない)。また、テレビリモコンのNetflixボタンやソニーのAndroidテレビなど、テレビでもボタン一つでオンラインコンテンツが見られるような環境が整えば、「とりあえずテレビ」だとしても、地上波放送がみられるとは限りません。

 

テレビ広告は当面安泰だが、長期では戦略転換が必要となろう
前回のブログで申し上げた通り、動画広告市場が成長し続けた中でもテレビの広告が成長したことは米国市場で証明されています。やはりテレビの持つリーチ力やインパクトは他の広告媒体にはない差別化要因であることから、ある程度視聴時間が減り続けたとしても、広告出稿は落ちないと思います。少なくとも今後5年は。しかし、長い目で見れば、視聴時間が減少することは広告媒体としての魅力の衰えにもつながります。これまでは「テレビではテレビの番組しか見れない」というのがテレビ局にとっての大きなアドバンテージでしたが、長期では「テレビ番組はテレビでしか見れない(他デバイスで見れない)」ということがディスアドバンテージになる可能性があり、テレビ局がどのような戦略転換を見せてくるのか注目していきたいと思います。

 

それではまた!!

先週発表された「日本の広告費」を分析してみました!

皆様、こんにちは!
先週、電通から2015年の「2015年日本の広告費」が発表されましたので、その内容を見ていきたいと思います。昨年は消費増税の反動で広告費全体としては前年比0.2%増にとどまりました。
内訳をみてみると、インターネットは引き続き前年比10%増と力強い成長を見せているのに対して、4マス広告は東日本大震災があった2011年以降初めてマイナス成長となりました。

図表:国内の媒体別広告費推移
(出所:電通「日本の広告費」)

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増加したのはほとんどインターネットと展示・映像のみ
2014年→2015年の増減をより細かく見ていくと以下のようになります。増加分のほとんどはインターネットと展示・映像が占めており、ほとんどは横ばいもしくは減少しています。なお、展示・映像には各企業のプライベートイベント、スマホゲームなどのファン層イベント、展示会などが含まれています。音楽においてライブの売上が増えているのと同様に、インターネットサービスの拡大に比例してリアルなライブ体験へのニーズが高まっているという傾向が見て取れます。

図表:2014年→2015年の媒体別広告費の増減内訳
(出所:電通「日本の広告費」)

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動画広告市場は依然としてテレビ広告市場の2.6%に過ぎない
さて、2015年の動画広告市場は506億円と前年比60%増加しましたが、テレビ広告のまだ2.6%程度の規模です。米国の場合、2015年の動画広告市場は更に大きく伸び、74.6億ドル(1ドル=115円換算で約8,579億円)とテレビ広告市場の10.7%まで拡大しています。以前ブログで説明したように、日本では映像コンテンツのプレーヤーが英語圏に比べて構造的に少ない点が動画広告市場の立ち上がりの遅れの一つの要因と考えていますが、逆に言えばコンテンツが広がることでまだまだ動画広告市場の伸びしろは大きいのではないかと思います。

図表:米国と国内におけるテレビ広告市場と動画広告市場の比較

(出所:emarketer、オンライン総研、電通)

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とはいえ、米国においてもテレビの広告予算がYouTubeに移るのでは言われ続けて久しいですが、結果としてテレビ広告市場が減少しているかと言えばそうでもなく、過去5年はゆるやかに成長し続けています。米国の場合はそもそもの広告市場が2-5%のペースで成長しており、そもそも日本より市場の成長率が高いということはありますが、それを差し引いても日本のテレビ広告市場もこのまま減少傾向が続く可能性は低いと思われます(10-20年の単位では分かりませんが)。動画メディア同士で市場を取り合うというよりも、より大きなトレンドとして、文字や静止画主体の情報やエンターテイメントが動画に置き換わっているということなのかなと思います。

図表:米国の動画広告市場とテレビ広告市場の推移
(出所:eMarketer)

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 それではまた!

6四半期ぶりに赤字に転落したGoProの未来について考えてみる

皆様、こんにちは!
先日、久しぶりにGoProの株価を見てみたら1年でかなり株価が急落していました。。。ピークからはおよそ85%も下落しています。一時は100億ドルを超す時価総額がありましたが、今では17億ドルになってしまいました。

参考:GoProの株価推移
(出所:YAHOO! Finance)

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2015年4Qは6四半期ぶりに営業赤字を計上
さて、GoProの業績推移はどうなっているのでしょうか?先日発表された2015年4Q決算は6四半期ぶりに営業赤字を計上してました。10-12月は本来であれば年末商戦でもっとも利益が出やすい四半期ですし、GoProはまだまだ売れてる印象をもっていたので、意外な内容です。会社側によると、4月で終了予定の一部製品の在庫処分費用を計上したことで、粗利益率が通常の40%台から29%へ悪化したとの説明をしていますが、出荷台数も前年比16%減と減少に転じています。

参考:GoProの業績推移
(出所:GoProのIR資料より当社作成)

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競争環境の問題ではなく、市場飽和が要因?
会社側は2015年4Qの米国内でのシェアは若干上昇しており、アクションカメラ市場に占めるシェアは85%を超えているとコメントしています。となると、ターゲット市場にGoProがいきわたり、買い替え需要も少なく、市場自体が飽和して伸びなくなったということなのでしょうか?会社側は現状ではその可能性を認めつつも、GoProの操作や映像の編集をシンプルにすることが出来れば、ターゲット市場はまだまだ広げていけるとコメントしています。

 

スマートフォン(汎用機)にやられてきた専用機市場
アナリスト時代はハードウェア企業を担当していましたが、スマートフォン(汎用機)が登場してデジカメ、ビデオカメラ、音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、カーナビなど様々な専用機の市場が侵食されはじめて以降、この議論はよく行われていました。当然、日本企業はスマートフォンで出遅れていたために専用機サイドの企業が多いのですが、当初の彼らの主張は「スマートフォンに慣れ親しんだユーザーはより高度な機能を求めて専用機に回帰する」というものでした。結果はご承知の通り、専用機の市場は予想以上に縮小し、撤退を余儀なくされた会社もありました。ただ、スマートフォンに侵食されて完全になくなってしまった市場はなく、エントリーレベルの市場がなくなってしまったという形でしょうか。デジカメ市場ではデジタル一眼レフやミラーレスの登場でハイエンドセグメントは一時的な成長を見せてましたし、音楽プレーヤー市場でもハイレゾの登場でハイエンドセグメントは盛り上がりを見せています。しかし、いずれにしてもスマートフォンの機能進化で専用機はどんどんハイエンド/ニッチな世界に追いやられ、市場縮小に伴って厳しい競争環境にさらされるという状況です。

 

専用機でも最も健闘しているゲームのようなビジネスモデルを築けるか
GoProはスマートフォンと必ずしも事業領域がかぶっているとは言えないかもしれませんが、今のニッチ市場から広げていくためにはスマートフォンでは実現できない価値を提供するという、これまでの専用機と同様のチャレンジが必要になりそうです。実は専用機事業の中で唯一成長市場として見られている市場があります。それはゲーム市場です。ゲームはもともとハードウェアをばらまいて、ソフトウェアで稼ぐというビジネスモデルです。当然ハードウェアの販売においてスマートフォンの影響は受けており、ハードウェアの売上は過去に比べて減少しています。一方で、ゲームのオンライン化が進むことで、オンラインを通じたアップデートの提供、ユーザー間の対戦機能、ゲームプレイ動画のシェア機能の提供など、これまでなかった新たな価値を提供できるようになっています。結果として、ゲーム専用機のユーザー数全体はエントリーユーザーがスマートフォンに移行したことで減少していますが、ミドルエンドユーザーやハイエンドユーザーのエンゲージメントはより高まり、追加アイテムの販売、月額課金などを通じて新たなマネタイズ手段が生まれました。マイクロソフト(Xbox)やソニー(Play Station)は今では数百万人単位で月額有料課金ユーザーを抱えており、これが両社ゲーム事業にとっての大きな収益源となっています。また、ソニーのPlayStation Vueに代表されるように、ゲーム機からリビングのプラットフォームを狙うというゲーム機→汎用機を狙うような動きも出てきています。今のソニーにとってゲーム事業及びそこから派生するネットワーク事業は最も将来性が期待できる事業と言っても過言ではありません。

参考:ソニーのゲーム事業の営業利益推移
(出所:ソニーのIR情報より当社作成)

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注:2012年度まではゲーム事業営業利益、2013年度以降はゲーム&ネットワーク事業の営業利益

 

ゲームはコンテンツとの組み合わせにより新たなマネタイズ手段を確立

先ほどの議論に戻ると、ゲーム機のハードウェアとしての市場は既にピークアウトしていますが、ゲーム機メーカー(任天堂除く)の収益はそれほど落ち込んでいません。これはゲーム機においてはハードウェアだけでなく、ソフトウェア(コンテンツ)も一体となってはじめてユーザー体験につながるため、ハードウェアの進化にオンライン化の要素が加わり、それによりこれまでにないコンテンツを楽しめるようになったことに起因していると考えられます。ハードウェアの進化だけではどこかで限界を迎え、市場縮小&競争激化が待ち構えるのみですが、いかにゲーム機のようにソフトウェア含めてスマホでは実現できないユーザー体験を実現し、マネタイズにつなげられるかが重要だと思います。

 

GoProにとってもコンテンツのエコシステムを広げることが復活の鍵ではないか
GoProでいえば、GoProのカメラで投稿した動画が1日1.5万本YouTubeに投稿されており、公式YouTubeチャンネルにも多くの動画が投稿されています。チャンネルを見る限り、1日約1本が投稿されており、YouTube公式チャンネルのチャンネル登録者数は373万人です。これらの投稿された動画は新たなユーザー獲得に向けたプロモーションとしてGoProのハードウェアの販売に貢献してきました。そうした意味では、既にハードウェアとそこから生まれるコンテンツの良いシナジーが生まれている状況ですが、ゲーム市場の例に倣えば、今後はコンテンツが生まれやすく、また拡散させやすいような機能を実現し、またそこから生まれたコンテンツを活かしていくエコシステムを作り出すことが収益の持続化の鍵となりそうです。

 

メディアビジネスやBtoB向けでのポテンシャルは大きい
YouTube以外でも、GoProはGoProチャンネルとして、様々なOTTにもチャンネルを提供しており、将来的にはメディア企業として発展する可能性はかなり高そうです。また、ドローンとの組み合わせなど、ビジネス関連でも発展の可能性はまだまだありそうです。

GoProチャンネルはVirgin Airlineの機内でも放送
(出所:http://worldairlinenews.com/2014/07/22/virgin-america-and-gopro-partner-with-a-new-airborne-channel/

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GoPro licensingは広告素材市場を狙った取り組み
また、昨年7月にはGoPro licensingを発表しました。これはGoProの映像制作者と広告主をつなぐプラットフォームビジネスで、GoProに撮影された選りすぐりの映像を広告主が一定の使用料を支払って利用するというものです。ここではメディアとはまた違い、広告素材としての市場を狙えるビジネスモデルとなっています。

参考:GoPro Licensingのウェブサイト

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スマートフォンがある以上、ハードウェアとしての市場規模は限界があるものですが、ゲーム同様にハードウェアをばらまいた後に、そこから生まれるコンテンツを用いたビジネスモデルを確立し、そこでデファクトスタンダードを握ることに未来があるのではないかと思いました。

それではまた!

動画プラットフォームの収益構造を徹底研究!

皆様、こんにちは!
今回は動画プラットフォーム事業者の収益構造を読むとく上で、ナスダックに上場している中国大手の動画プラットフォームYoukuTudouについて分析してみたいと思います。ご存じのとおり、中国ではYouTubeを見ることが出来ないため、様々な現地の動画プラットフォームが立ち上がっていますが、その中でも大手(おそらく1位)のポジションにいるのがYoukuTudouです。

 

それではまずはYoukuTudouの業績推移を見てみましょう。
まだ2015年10-12月の決算は発表していないため、2015年7-9月までの業績となります。

YoukuTudouの業績推移

(出所:YoukuTudouのIR情報より当社作成)

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コンテンツ費用、通信費用の負担が大きい
売上の中心は広告収入で、YouTube同様に広告課金が中心となっており、直近でConsumerやその他の収入の割合が増えてきているのが分かります。一方で、原価面を見てみると、通信費用とコンテンツ費用の割合が大きく、売上原価だけで売上の80-100%を占める状況が続いています。特に割合が大きいコンテンツ費用に関しては、国内外のTVドラマやオリジナルコンテンツの買い付けを行っていることから、YouTubeのように純粋に広告売上の一定割合をレベニューシェアしているという訳ではなく、レベニューシェアの部分や固定で払っている部分が入り混じっているのではないかと思います。なお、2015年2Qの決算電話会議ではコンテンツ費用のうちUGCやPGC(一般視聴者やプロによるコンテンツ投稿)は10%未満とコメントしており、ほとんどが先述の優良コンテンツの買い付けに要した費用のようです。一方で、UGCやPGCの視聴回数に占める割合は53%とコメントしているため、YouTubeに比べてコンテンツ投稿者への還元率はそれほど高くなさそうです。その辺の構造はUGCやPGCで成り立っているYouTubeと大きく違いますね。

YoukuTudouの売上原価内訳(2014年4Q~2015年3Q平均)

(出所:YoukuTudouのIR情報より当社作成)

 

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他プラットフォームの収益構造は不明だが、概ねYoukuTudou同様の収益構造と推察
YouTubeの収益情報は開示されていないために収益構造は分かりませんが、パートナープログラムにより広告収益やYouTubeRed収益の55%をコンテンツ提供者に還元しているといわれています。チャンネルが一定規模にならないとパートナープログラムには参加できないため、実際のコンテンツ費用は55%よりは低いと思われますが、YoukuTudou同様にコンテンツ費用の負担はそれなりに大きいと推察されます。また、通信費用に関しても規模の経済がかなり働いて低減しているとみられる一方で、広告掲載の頻度は他社プラットフォームに比べてそれほど高くないために、売上に対する通信費用の割合もそれなりに高いと推察されます。おそらくYouTubeのみならずUGC&広告課金モデルで動画プラットフォームで事業を行っている会社はほぼこの収益構造に近いのではないかと思います。

 

テレビ局と比較した場合、まだテレビ局が収益構造上は有利な状況
これをテレビ放送局と比べた場合はどうでしょうか?2015年度1Q-3Qの日本テレビホールディングスの決算の中で番組制作費用(≒コンテンツ費用)と支払電波料(≒通信費用)の売上(放送収入+番組販売収入‐代理店手数料)に対する割合はそれぞれ45%、14%となっており、YoukuTudou(及びおそらく他のUGC&広告課金プラットフォーム)のコンテンツ費用や通信費用の割合に比べて若干低くなっています。あくまでもコンテンツ費用と通信費用のみの比較なので、単純比較は難しいのかもしれませんが、大きな広告収入に支えられていることもあり、テレビ局は収益構造上まだまだ優位な状況にあると言えそうです。

YoukuTudou、日テレ放送事業のコンテンツ費用、通信費用内訳

(出所:YoukuTudou、日本テレビホールディングスのIR情報より当社作成)

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収益構造改善に向けてYoukuTudouは新たなマネタイズ手段の確立中
売上が増えた時に利益が増える割合を限界利益率と言いますが、YoukuTudouでいえば粗利益率が近い概念なのかなと思います。YoukuTudouの2014年4Q~2015年3Qの平均粗利益率は14%であり、売上に沿ってコンテンツ費用や通信費用が増えるので、収益構造上はかなり厳しく見えてしまいます。こうした状況もあってか、YoukuTudouはここ数年新たなマネタイズ手段を確立しています。具体的には、定額課金サービス、コンテンツマーケティング(オリジナルコンテンツでのスポンサーとのタイアップ等)、Videoコマースなどです。Videoコマースではアリババが出資したということもあり、アリババのマーケットプレイスと連動させたVideoコマースを展開しています。また、有望なIPに投資し、YoukuTudouの中でドラマ化する、スマホゲーム化するなどマルチフォーマットすることでIPの価値最大化するという取り組みも行っているようです。おそらく、これらの売上が「Consumer」のセグメントや「その他」のセグメントに計上されているとみられ、その構成比が増えてきています。

Netflixの限界利益率の高さが定額課金モデルの将来性を示唆
Netflixは限界利益率にあたるContribution marginをセグメント別に公表していますが、直近の決算で見ると、国内ストリーミング事業のContribution marginは34%となっており、YoukuTudouの粗利益率に比べてかなり高くなっています。ただ、4年前までの国内ストリーミング事業のContribution marginは10%台で、あくまで34%というのは現在の規模まで拡大した前提での話ですが、定額課金モデルであれば、究極的にはこの水準の限界利益率を目指せるということを証明しています。なお、Netflixは海外事業においては現地コンテンツの先行投資やプロモーションを積極的に行っているということもあり、限界利益率は-14%となっています。

YoukuTudou、Netflixの国内外の限界利益率

(出所:YoukuTudou、NetflixのIR情報より当社作成)

 

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結論:広告のみでの採算確立のハードルは高いが、収益多様化のポテンシャルは大きい。いずれにしても一定以上の視聴者規模は必要
結論として、動画プラットフォームの収益構造を考えるうえで、プラットフォームを差別化するコンテンツ費用はUGCであれ、優良コンテンツの調達であれコスト負担は大きく、また通信費用も割合も大きいため、単純に広告課金&レベニューシェアで採算を確保するのはYouTube並の規模にならない限りは難しいのかなと思いました。しかし、動画サービスはそれだけ視聴者の余暇時間に占める割合は大きいため、その中で定額課金への誘導や、Videoコマース、特定IPへのエンゲージメント拡大など、視聴者規模が大きくなれば他のマネタイズ手段は色々と出てくる可能性がありますし、その中で収益性を改善させていく余地は大きそうです。

YouTubeに関しては、YouTubeRedを始めた理由はマネタイズ目的というよりも単純に多様な消費者や動画クリエイターのニーズに応えたいというところから来ている気がしますが、どうなんでしょうか?

 

それではまた!